私は勇者に憧れていた。
誰よりも何よりもかっこいい、麗しの女性。私の女神。
あの人についていけたら、あの人に少しでも近づけたら…
そんな時、あの人は私の村に現れた。
なんでも、隣国の貴族の娘さんを探しているとか。
ああ、やっぱりあの人はかっこいい。着いて行きたい!!
だから、私は追いかけたの。
あの人に、近づくために、勇者になるために。
勇者になったら、きっと私のことをバカにする2つ上の幼馴染みも、
村の男連中も私のことを認めるはずよ。
私は、ナイフを懐に忍ばせて、いつものように家を出た。
向かうは、あの人が向かっていったあの森の中――。